先日、「地域活性化の為の官民パートナーシップ」について考えてみましたが、今回は、その流れを受けて、「民間企業による自治体への提案について」触れたいと考えます。
「自治体と民間企業の大きな違いは?」というと、それぞれの「慣習」「目的」「リソース」等において、共通点がない事。と、思われがちです。
確かに一昔前までは、自治体と民間が連携して相乗効果を上げると言う事は至難の業であり、その取り組みに入るまでの労力と時間を考えると、民間側としては「大きな利益がなければ、やる意味はない。」という気持ちになるのも当然でした。
とはいえ、全ての自治業務を自治体単独で行う事は、人件費や運営費の削減、住民へのサービス提供レベル向上という観点からも適切ではないので、指定管理者制度や業務委託という方法を採用して、自治運営をしている部分も多くあります。
また、自治体は指定管理者の採択を決める時においても、該当事業の専門家ではありませんので、民間の知恵を借りることで、公募要綱の作成や、第三者機関を使ってプロポーサルの判断をする事で、公平性、健全性、透明性を担保するようになりました。
民間企業は、自由競争の中でマーケットを分析し、自社商品(サービス)の競争力をつけ、自己責任で社員を雇用し、銀行から事業資金の融資をうけ、全てのリスクを被りながら事業を推進しています。いわゆる「覚悟」をもって取組んでいると言えます。
いっぽう、自治体による事業運営は、真剣さがない。と言われがちですが、決してそうではありません。
自治体には、自治体であるが故に、果たさなければならない責任がたくさんあります。
(1)「公平性」の原則に沿っているか?
(2)税金を使っている事から「説明責任」をしっかり果たせるか?
(なぜ、今、必要なのか? その効果は? 将来における有効性は? 効率はどうなのか? 等々・・・・議会で追求される事柄です)
(3)「透明性」を担保できるか?
その他にも気をつけなくてはいけない事がたくさんあります。
そのような自治体運営を理解したうえで、民間企業は事業提案を行わなくてはいけません。
私も、いくつかの自治体とお付き合いさせて頂いていますが、今、お付き合いさせて頂いている自治体は、どこも、民間企業のアイデアや行動力を認め、連携しながらお互いの立場を理解しながら、お互いの目的がシェアできる事業モデルを切望されています。
これは当然の事ですが、自治体の方からすると、地元企業から、もっともっとアイデアや事業を相談してほしい。という声もよく聞きます。
過去においては、「自治体に言っても動いてくれない、硬い事ばかり言われる。」という時代もありましたが、現在は前向きに取組んでいる所が増えています。
民間企業の考えている事が、自治体運営の観点からして、地域産業や地域の活性化につながる事であれば、(雇用促進につながれば最高ですが)お互いのベクトルをあわせる事ができます。
新しい事業提案の持ち込み方には、様々なノウハウがあります。
お互いの慣習や首長の考え方(マニフェストや年頭訓示、メディアに掲載された記事から推測して、何を求めているのか、等々)、自治体の組織構成も理解しながら、どのように提案を組み立てるか、どのようなストーリー性にするのか、そして住民への説明責任に耐えられる内容を用意し、お互いの信頼関係をどう構築するか。という事になります。
これらを並べると大変そうに思いますが、この提案は、取組んだ人にしか味わえない、なんとも言えない醍醐味があります。
自分の地域活性化の為、自治体に、どんどん提案して欲しいと思います。
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