「観光農園」からみた「道の駅」の改善ヒント

 6次産業化プランナーの活動と地域活性化の活動の両方に属する分野に「観光農園」というテーマがあります。道の駅のコンサルもしているので、「観光農園」からヒントや改善点、気づきを多く得ることもあり、青森県の「あぐりの里 おいらせ」へ寄らせて頂きました。
http://agurinosato.jp/
青森県上北郡おいらせ町向山東2丁目2-1684

 観光と農業そして商業を組み合わせた総合観光農園となっており、施設の中には「農産物産地直売所」「奥入瀬広域物産館」「農園レストラン」「熱帯果樹園」「観光いちご園」「天然温泉足湯」等々があり、小動物と触れ合うスペースもありました。

 関連施設の敷地面積合計は約8000㎡。年間42万人の来場者があると教えていただきました。
  あぐりの里 おいらせ

  あぐりの里 おいらせ

 道の駅や産地直売所の単独施設でも、地元産品や新鮮な物を販売していますが、それだけでなく、その場で手造りをしているところを見せながら販売しているという点と、体験型の施設があるという点において、来客者の満足度を上げる要素を持ち合わせていると考えられます。
 しかも、単純にそれらの施設を配置するだけではなく、エリア内の人の流れをどのようにデザインするか、入り口から入った後、どうやって、どのあたりでワクワク感を芽生えさせるか、また、手軽に購入できる商品をどのような場所に配置していくか等々たくさんの工夫が凝らされています。
 同じような施設であっても、来客数の多い施設は、このような見えない工夫が緻密にされているわけです。

 なぜ、この位置にいきなり食堂がある? なぜ、加工品販売している施設と産直物を販売している施設の距離をおいている? なぜ、足湯を施設内の隅のエリアに設置している?  なぜ、手造り工房を分離しているように見せている? 全部、大きな意味と狙いがあると考えます。

みなさんも、このような施設へ遊びに行ったときには、すこし視点をかえて、運営側は何を感じてもらいたくて、このような仕掛けにしているのかを推測すると面白いと思います。(ただ、大半の施設は、これらのことが理解されないまま、テナントを打算的に配置している場合もありますので、その場合は、改善方法をイメージしたいところです)
 
 今回の訪問は平日の午前中でしたので、お客様はまばらでしたが、前回行った昼時には、かなりの人がいた上に、農園レストランも満員で、待ち時間もありました。
 農園レストランでは、地元食材にこだわったメニューや自社農場で栽培された食材を提供されており、その時はバイキング方式で好きな物を選んで好きなだけ頂くことができました。 近隣地区の価格帯からは、すこしだけ高いかなと思いましたが、提供されている物をみると納得できますし、さらに満足感を得た思い出があります。 たぶん、地元の方々も含めて、リピーターが大勢おられると思います。
 
 道の駅のコンサルをしている中で、施設内にレストランや軽食コーナーを併設している場合、地元食材を使った食事をどのようにメニュー化するか、そして、食べてみたいと思ってもらえるような工夫をどうするかという事を考えますが、実は、これが施策における一つの大きなポイントでもあります。(滞留時間の増加・土産品の購入促進にも貢献)

 施設全体の売上を考えた場合、産直や加工品の販売だけでなく、レストランや軽食コーナーの売上をどのように伸ばすかという点が収益性においての分かれ道になります。
一般的に、産直に出している農家さんは、販売金額の15%から20%程度を運営者に手数料として支払います(他にも出店料が少しあります)。 逆に言えば、道の駅運営者からすると、たくさん売れても収益的には、それだけに頼ることは出来ないという事になります。
 お土産や加工品を販売しても、大半は委託販売なので、こちらも手数料としては、最大30%程度となります。となると、経営を維持するために何をしなくてはいけないかというと、来客数の増大を狙った施策展開や、自己運営のセクションを持つ事を検討したり、WEBでの販売等を展開する方法を考えなくてはいけません。
 
 施策を打つにしても、イベントをするにしても、何をするにしても、前提となるのは、現状分析です。

 売り場セクションごとの、月別売上やレジ数はもちろんのこと(季節要因分析と購買単価推移分析)、日ベースでの通常時とイベント時の差分析(イベント効果推測)、来場者数の把握と、来訪者エリア(地元・県内・県外)分析、近隣地区のイベントを調査して、そのイベント開催における関連性分析等々、経営を改善するヒントがたくさん見いだせます。 ただ単にコストを下げるとか、条件を変更するだけというのは、さみしい限りです。
 
 これからも道の駅の経営改善と組織強化(関連事業者同士の関係において問題を抱えている事例も多いので)を応援していきたいと考えています。
 
 余談ですが、日本で最も有名な総合型観光農園施設は三重県にある「伊賀の里 モクモク手作りファーム」だと思われますので、もしよければ参照してみてください。
http://www.moku-moku.com/

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