現在、ある地域で進めている「再生可能エネルギーを核とした地域活性化モデル」プロジェクトの研究の一環で、国内最大規模のバイオマス循環利用施設(鹿追町環境保全センター)を視察させていただきました。
東京からは飛行機で帯広空港へ行き、現地まで車で約1時間30分。お伺いした時は、氷点下15度でした(前日の最低気温は氷点下22度)
当該施設の概要は、稼動開始が平成19年10月。敷地面積51500平方メートル。建設費17億4500万円。一日の家畜糞尿処理量 134.4t/日。
鹿追町の人口は6000人ですが、乳牛が1万9千頭、肉牛も1万頭います。
然別湖を中心とした観光客は73万人という畜産と観光の町でもあります。
家畜の糞尿の臭気が観光にそぐわないことから、糞尿処理を目的としたバイオガスプラントを建設されました。
バイオガスプラントの大きな流れとしては、
①牛舎からの原料回収、受入れ。
②原料槽での処理。
③バイオガスプラントでの発酵処理。
④発電およびスラリーストアと呼ばれる消化液貯留槽での貯留。
施設全体の生成物としては、発電による電力。消化液からなる液肥。生ゴミや下水汚泥処理後の堆肥。などになります。
施設内には、原料槽、発酵槽、バイオガス精製圧縮充填装置、蒸気ボイラー、ガス発電機、温水ボイラー、消化液貯留槽、温室ハウスなどがあり、堆肥化プラントとコンポストプラントも敷地内にありますので、研究や視察には最高でした。
一般的なバイオガス施設では、生成物となる液肥の臭気がひどく、農園などに散布しても臭いがすごい上に、輸送・散布まで考えると、コスト高となっている事が多い中、この施設では、ほとんど臭気が無い上に、地域との連携により比較的安価に提供されていました。
また、自治体や研究者等の視察も多く、昨年度に研修ハウスも設立し、研修資料も充実しており、大規模な先行事例として注目されております。
余剰エネルギーにてハウス栽培の運営や、自動車燃料テストも行っておられます。
下記のアドレスに施設と視察の案内があります。
現在は再生可能エネルギーの買取制度がありますので、バイオマス発電も、徐々に注目され始めておりますが、太陽光発電や風力発電、地熱発電とは違う課題が多くあります。
特に、事業自体の収益性も大事ではありますが、地域住民や地域関連施設を含めた連携をどのように深めていくかという点において、とても参考になりました。
また、帯広畜産大学の構内にもバイオガスプラントがあり、施設を特別に視察させていただきました。
寒冷地でのバイオガスプラント稼動についての苦労や課題を含め、貴重な現場の意見を頂きましたので、参考に取組んでいきたいと思います。
二日目は士幌町のバイオガスプラントも視察させていただきました。
施設に対する技術的課題、プラント建設会社の思惑、自治体の目的と運営課題、地域住民や施設との連携等々、様々なお知恵を頂き有難うございました。
【過去のバイオマスに関するブログページ案内】
●バイオマスを知ろう
(バイオマスについての基礎事項と再生可能エネルギー買取制度)
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瀬波バイオマスプラント視察
2013-11-22
4 -
亘理町での牧草試験栽培開始
2013-10-15 -
バイオマスを知ろう。
2012-09-08 - もっと見る >>