地域活性化の為の官民パートナーシップ(1)

 一般的な官民パートナーシップとは、PPP(public-private-partnership)を指しており、これは、「全てを政治や行政が行うのではなく、民間にできることは民間に委ねる」という考え方です。

 民間事業者の資金力やノウハウを活用する事で、社会資本の整備を効率よく行い、住民に対するきめ細やかな公共サービスを提供する為の手法とも言えます。
 実際には、指定管理者制度・業務委託・PFIなどの手法がメインですが、大きなものでは民営化なども含まれます。

 地域活性化の観点から見た時には、行政の抱える課題や運営上の事情も良くわかりますが、民間企業の経験や知恵、スピード感、突破力、人脈などをマッチングすれば、解決できる事も多々あります。

  $地域価値創造コンサルタント 須田憲和-自治体 合同会議 十和田市
 行政と民間企業では、そもそも目的も違いますし、慣習も違う、更には使えるリソースも違います。
 お互いが理解し合い、尊重しあう事で信頼関係を構築して地域住民の為に協働で事業に取組む事が必要となっています。

 そのような中、官と民が一緒になって、地域課題に対する意見交換をする場がありますが、毎回40名近くの経営者が参加されており、様々な立場の民間企業経営者からは、素晴らしいアイデアが瞬時に出てきます。

 メンバーである民間企業は自社のサービスや商品を売り込むような事はしません。しかも、目先の利益や事象にこだわらず、もっと本質的な部分から考えます。

 「こんな事をやっていて意味があるのか?」
 「経済的波及効果はどれだけあるのか?」
 「将来につながる取組になっているのか?」
 「机上理論になっていないか? 誰が汗をかくのか?」
 「自己満足の域から脱していないのではないか?」
 「首長のビジョンは何なのか?」
 意見内容は厳しいですが、ちゃんと対応策や案を持っている人の発言ですので、質問や批判が多い一般議会とは訳が違います。(議会は牽制機能を持たせるものなので仕方ないですが・・)

 定住人口の増大や企業誘致、さらには観光流入人口増大や就農者増大、等々、行政課題は確かに多いのですが、そもそもそれらの基本的な原因はなんなのか。
(他にも社会福祉費増大、財政圧迫要因の対策、生きがいづくり等ありますが、別件で触れることとします。)

 一言で言えば、他人視線での魅力が不足しています。

 では魅力をどう作るか、どうPRするか。と言う事になりますが、殆どの自治体は「自分の地域特性のPR不足が原因なので、PR手法の部分で協力してほしい」と言います。

 しかし、手法としてのPRにお金をかけても、本質的な解決にはなりません。

 本当の地域資源は何なのか、地域特性を間違えてないか、昔と今では消費者ニーズも変化している事から、昔のままの情報をそのまま押し付けてないか。

そこでしっかりした調査が必要になります。

 企業経営者の場合、マーケット分析をせずに、飛び込むようなことはしません。

 まずは、地域資源と地域住民の意識をきちんと理解し、地域との融合を目指して取組を始めます。

 次に、内部環境の強みと弱み。外部環境の機会と脅威。これらを分析したのち、ブランド化やPR施策を検討します。いわゆるSWOT分析と言われるものです。

 さらには、その調査から生まれた結果に対する施策も常にプラン・ドウ・チェック・アクション(PDCA)を行い、どんどん修正をかけて現実に受け入れられる形に変化させていきます。

 自治体の方々は、最近においては他地域の成功事例や取組事例を研修という形で勉強する機会が多くなっているように思いますが、行政マン同士の情報連携も必要ではありますが、優秀な行政マンは自分で民間企業や金融機関などと連携し、知恵を借りて活かしています。

 私たちも若い行政マンとお付き合いをさせて頂いておりますが、いろいろな事を相談してくれると、真摯になって、対応させて頂きます。

「官と民」「ソフトと信頼関係」でつなぐプラットフォームになるのが、官民パートナーシップの本髄と考えます。

 長文になってしまいますので、何回かに分けて書いていきたいと考えています。

 次回以降、地域活性化の為の官民パートナーシップについてのサブテーマは、
 ① 自治体の職員の方々との信頼関係構築について。
 ② 地域には、自らが力を発揮したい人が眠っている。その人達が力を発揮できない、意欲が衰退してしまっている事の打開策について。
 ③ まちづくりは、あくまでも地域の人が主役。(チームつくり)
 ④ 地域資源とは物だけでなく、企業・人・文化等も含まれると言う事。
 ⑤ 自治体組織内にプロジェクトチームを創設し、連携する方法について。
 ⑥ まちづくりは10年かかる。首長も職員も移動する中で、現在のDNAを維持し続ける方法。(ビジョンの共有・浸透など含む)
 ⑦ 中央集権から地方分権への移行期に地方が抱える新たな問題について。
 ⑧ 社会福祉費、特に医療費負担増対策の健康増進施策。
 ⑨ 他の地方や企業の事業モデルを取り入れる時の注意点。
 ⑩ その他、追加項目を連載。
などについて、触れてみたいと考えています。

※ 個別施策や各論は随時付加していきたいと思います。

よろしければ、読者登録お願いします。
$地域価値創造コンサルタント 須田憲和

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コメント

    • なっきー
    • 2012年 12月 12日

    1. なっきーです。 はじめまして
    お書きになっていること、概ね同意です。
    ただ、「他人視線での魅力が不足」と言い切るのはどうでしょうか?

    他人目線でも探すといい資源がたくさんある地域なのに、交流人口の増加は思わしくないという地域はたくさんあります。

    そこには、仰るように、様々な要因があるんですよね。

    魅力と感じる層がマスかニッチかでも違います。
    でもニッチ対象でも多くを束ねて一つのテーマで括れれば、化ける可能性もある。

    そこら辺を気付かせて、サポートしてあげるのもコンサルタントでは?

    まあ、住民達が自分達で考えることを放棄してしまっている地域では、すごく難しいですよね。
    電源地域は大変だろうなぁ…

    そうそう、読者登録させて頂きますので、宜しくお願いします。
    http://ameblo.jp/nack12mypace/

    • 地域価値創造コンサルタント 須田憲和
    • 2012年 12月 12日

    2. Re:なっきーです。 はじめまして
    >なっきーさん

    コメント、読者登録有難うございます。

    地域に入り込むと、様々な要因が重なり合っていて、どういう分野から取組むか、いつも悩みます。

     でも、おっしゃるとおり、光る物は必ずありますよね。

    それを早く伸ばしてあげる事も重要と考えています。

    これからも宜しくお願いします。
    http://ameblo.jp/localcreation/

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