この夏のアメリカにおける大干ばつの影響もあり、最近、穀物相場が上昇しているといわれていますが、農林水産省のホームページに、穀物相場の推移グラフが掲載されておりましたので、勉強させていただきました。
農林水産省の資料によると、穀物などの国際価格は2010年7月以降に再上昇した事により、2006年秋に比べて1.9倍から3.5倍となっています。
出所 農林水産省 穀物等の国際価格の動向
(1970年以降の世界の小麦、とうもろこし、大豆、米の国際価格グラフ)
価格抜粋
米 :607ドル/t(1.9倍)
大豆:638ドル/t(3.2倍)
小麦:329.8ドル/t(2.4倍)
とうもろこし:306.1ドル/t(3.5倍)
※ 倍率は2006年秋対比
特に、とうもろこしは、食用と家畜飼料として使われていましたが、バイオエタノール燃料としての有効性を見出してからは、エネルギーとしての使用用途が広がった為に上昇幅が大きくなっています。
穀物価格の上昇は、単に個別価格の上昇だけでなく、それらを飼料としている牛、豚、鶏などの食肉(精肉・牛乳・卵)などにも、影響を及ぼします。
飼料が高いとはいえ、与える量を減らすとか、他の物を混合するという事にも限界がありますので、必然的にコストがあがります。
これは畜産農家の経営を圧迫するだけなのか、もしくは商品価格までもが上昇するのか。という事については、全世界的に価格が上がっている現状からすると、畜産農家の経営圧迫のみでは吸収しきれず、徐々に商品価格が上昇するという事になると考えられます。
ここ数年、日本の消費者としては多少、穀物が高くなっているとは感じていますが、そんなに緊迫していないのは、最近の円高の影響もあり、ドルベースでの価格上昇分を、すこしだけ相殺されているのかも知れません。
世界的な人口増大、エネルギー利用、地球規模の異常気象などを含めた穀物需給を考えると、さらなる価格上昇は避けられない上、家畜等の価格上昇のみならず、食料供給自身が脅かされる状況となる事も将来的には考えなくてはいけません。
世界の穀倉地帯とも言われるアメリカは、貧困国への支援物資としての穀物提供をしていますが、それも制限されてくる可能性があることから、世界的に様々な問題を引き起こす原因になる可能性がありますので、もう一度、勉強・認識してみては・・・・と思いました。
日本の農業についても例外ではなく、付加価値を付けた農作物の研究と開発、そして生産拡大を視野に入れなくてはいけません。(規格外品の商品化、換金化もふくめ)
昨今の地方の状態をみると、農業の生産性の低さから離職する事例、高齢化と後継ぎ不在により廃業する事例などから、農耕放棄地が増えています。
一度、荒廃した土地を再生させるのは大変な事です。
日本全体の将来を考えると農業保護政策を取るだけでなく、将来を見据えた政策をとり、農業法人の参入障壁を下げるなど、もっと取り組まなくてはいけない事があります。
余談:穀物の先物取引は、投機資金が相場をリードしたり、目先の需給により乱高下する事がありますので、先物価格の日々の上下だけを見ていると、実態に対する将来予測を見誤る事もあります・・・。
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