道の駅 売上拡大の為に。

道の駅の経営コンサルを実践する中、多方面の方からお問い合わせを頂くことが多くなってまいりましたので、お話させていただける範囲内で「現状の道の駅のマーケット」及び、「具体的な経営改善にかかるヒント」について少しお話してみたいと思います。
(細かい施策については、お問い合わせいただければと存じます。)

 ■ 道の駅の運営方法は実に多岐にわたります。

第三セクター方式・民間や団体への指定管理方式・自治体の自主運営など、それぞれ特徴や課題は違いますので、今回は運営にかかる共通項目について触れさせて頂きます。

■ 道の駅の経営状況について

公的機関や関係機関が様々なアンケート調査を実施していますが、経営や数値にかかるアンケート結果を目にされることは少ないと思います。近年の産直ブームもあり、道の駅の経営は改善していると推測されますが、私が組織運営本部長を担当しているNPO法人 元気な日本をつくる会が2015年に実施した調査では(321ヶ所相当から回答)、2期連続売上増大は全体の33.8%、2期連続売上減少が25.9%となっており、経営に関しては2極化が進んでいると考えられる結果となりました。
(参考)全国道の駅一斉アンケート(元気な日本をつくる会WEBサイト)

【アンケート集計報告目次】
(1)管轄している道の駅の数について
(2)運営事業者へ期待したい事項について
(3)運営事業者の課題について
(4)道の駅の売上推移について
(5)道の駅の利用者数について
(6)運営事業者の属性について
(7)飲食部門(軽食コーナー)における取扱商品について
(8)飲食部門(レストラン)における提供方法について
(9)オリジナル商品の開発について
(10)他府県の道の駅との連携について
(11)道の駅の運営に関するアイデアや情報について

 ■ 売上拡大にむけた施策の観点について

道の駅は、地域社会の活性化拠点としての再生を望まれており、各地で多くのモデル事例が出てまいりましたが、「事業経営」という観点から捉えたときに、アドバイスをもらえる人が少ないのも事実です。そこで、下記の項目について考え方のポイントを列挙してみたいと思います。

 (1)道の駅の売上・季節要因の分析

一般的に観光客が多い季節は売上が増大、観光客が少ない時期は売上が減少というイメージがあると思いますが、具体的にどうなのか、私が担当させて頂いている道の駅の売上推移グラフを下記にご紹介させて頂きます。

これは東北地方にある年間50万人以上が利用する道の駅の売上推移グラフです。
平成26年度の実数に対し、コンサルに入らせていただいた平成27年・平成28年の推移を表記しています。
この月別推移については、大半の道の駅で同様な傾向となります。事業における一般的な損益分岐点は、「山」と「谷」の間に位置するのですが、「山」の頂上付近に位置していて、「谷」の時期は赤字という施設が多いのが現実です。(固定費は年間を通してほぼ一律ですのでコストラインはほぼ直線に近い状態となります)

結果からいうと、2年連続売上増大・利益増大となっていますが、着目ポイントと改善点は以下の通りです。

①初夏から秋口の観光シーズンは良いが、冬場の経営は改善策が必要。

観光客が来る季節と観光客が来ない季節で、同じ商品を陳列していては当然、売上が下がります。オフシーズンの来店者は誰かということを考えると地元住民に喜んでもらえる品揃えと企画が必要。

②平成26年度は月別推移が、なだらかです。これは、いわゆる「うまなり」の経営。
企画や施策を実施すれば平成28年のように、期間的に下降曲線のなかでも「山」を作ることができます。

③前項の「山」をつくることができたら、次年度はさらに、その時期の企画や施策を伸ばすことに注力します。それにより、「山」の盛り上がり幅が前年度より大きくなります。 売上低迷時期に、底上げする施策は、大きな改革をしないとできません。現状分析をする中で、小さな「山」をどう創出していくかを考えなくてはいけません。

 (2)道の駅の顧客購買単価・季節要因の分析

売上の増大には、来客数の増加施策と顧客あたりの平均購買単価の増大を目指すことになります。販売にかかる現状分析を細かくする事が当然必要ですが、顧客単価の増大は民間企業においてもなかなか難しいものです。以下は施策実施後の顧客購買単価の3年間の推移となります。
道の駅の運営形態や商材を考えると購買単価を50円上げるのも、本当に苦労します。

①観光客が来店する季節は、お土産を購入する比率が高い為、クレジットカード決済の環境は必須です。あわせて宅配便の手配も気軽にできることが重要です。
②観光客向けには、地域特産物パッケージセットなど、まとめ買いを誘発する商品設計も有効です。また、お酒など、いろいろな種類があるときに1本を選ぶのは難しいので、小瓶の3本 飲み比べセットなども魅力的です。
③バス観光客や買い物客に向けた「レジ横商品」の発掘・充実をはかります。たとえば、レジの横に、おいしい饅頭が1個100円で置いてあり、POP等で推奨すれば、気軽に手に取る確立があがります。
④他にもPOPや店員の一声運動、店作りも重要な改善要素であります。

 (3)職員・店員の意識改革

民間企業においてもお客様と接するセクションは、もっとも重要でありますが、残念ながら、その概念がないところが多いのも事実です。しかし、これは店頭に立っている店員やパートさんが悪いのではなく、経営者の意識の欠落が原因で、そのような教育を施されていないということに問題があるのです。
他の施設に「お客・消費者」という立場で視察することで、自分の施設運営との違いを「体験する」ことが大事です。机上理論で教育しても、実際に体験しなければ、本人に気づきはありませんし、改良しようという意識も生まれません。

接客研修や、おもてなし対応を学ぶ機会を用意されることも多いと思いますが、現状の延長線上で勉強しても、なかなか従来からの殻を破ることはできません。

また、社員やパートさんのモチベーションをどのように上げていくかも大きな課題であり、店のイメージや売上に直結してくる部分でもあることを認識して改善策を打たなくてはいけません。

 (4)地元のお客様に来ていただく為に必要なこと。

地元のお客様が、大型店舗に無い、何を道の駅に望むのか?
それをひとことでいうと「ワクワク感」「非日常的空間」であると考えられます。
地域と形態によって、具体的にどういう仕掛けをするかは違いますが、他の地域の特産物を期間限定のフェア方式で販売したり、お客様の要望をうけて、仕入先や連携先を開拓したりすることもあります。場合によっては、「競り・市場」のような臨場感を味わえるイベントを創出することもあります。

また、特産物を用いた作品コンテストを子供さん対象に行うなど、地域コミュニティ育成の場として活用できる事例も多くあります。

 (5)受身の道の駅から攻める道の駅へ

大半の道の駅は、受身の経営をしています。イベントなどを企画し、来場者数を増やすことはあります。しかし、事業として捉えた場合、継続的に来客数を増やす為に、どういう施策・営業をすれば良いかを考える必要があります。
たとえば、付近の観光地へ向かう旅行プランを企画している会社や観光バス会社に、道の駅に立ち寄ることのメリットを提供して、継続的に休憩をしてもらう施策を提案するなどが、その一例です。

 (6)来客者向けの販売に加え、地域問屋機能を持たせる。

来客者の大半が観光客であるとすると、せっかく購入して帰省後に食して喜んで頂いたとしても、自宅から商品を再度、購入するための仕組みが無いという場合が大半であります。リピーターや継続販売を目指すのであれば、通販やWEB販売の仕組みを構築する必要があります。
また、個々の事業者では、地域外への外商ができないことも多いので、優れた商品については、事業者の変わりに道の駅として、外商をするという営業行為も大いにチャンスはあります。

以上、簡単ではありますが、何かのヒントになれば幸いですが、それ以外に、国土交通省のホームページに地域活性化の拠点形成としてのモデル事例が多数出ております。各地で様々な取組みが行われておりますので、参考にされてみても良いかと思います。

モデル「道の駅」・重点「道の駅」の概要(国土交通省ホームページ)
(道の駅による地域活性化の拠点形成)

新規で道の駅を開設する方、既存の道の駅の経営改善を目指しているかたなど、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

最後に、コンサルをさせて頂いている道の駅の職員・パートの皆さまの普段の努力に心より感謝申し上げます。

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