組織疲労の現状について

 地域活性化のアドバイザーとして地域分析や地域資源開発を行っておりますが、地域に入り込んで活動している中で、共通課題ともいうべき「組織の制度疲労」という分野に着手する事が多くなってきました。

 一般的には個別の活性化策やビジョン作成、推進計画を企画立案しておりますが、それらを運用する為に必要なのは、アイデアより「人」であります。

 どの地域にも各種経済団体や観光推進団体、文化活動団体、スポーツ振興団体、NPO団体等々、たくさんの組織体が存在しています。

 本来であれば、これらの各種団体が連携して地域活性化に取組む姿が理想なのでありますが、各種団体は過去の組織体制と過去に定められた運用体制であることから、まさに、「組織疲労」を起こしていると言わざるを得ない組織が沢山あります。
  協議会アドバイザー 須田憲和 地域活性化

 これらの団体が組織された時は、なんらかの目的を達成するために組成された訳ですが、時代の変化と共に、価値観や生活スタイルが変わっているにも係わらず、その流れに順応できていないという事であります。
 民間企業であれば自らがマーケットリサーチを行い、時代の変化を取り込みながら組織を最適化して事業を行いますが、それが出来ないというジレンマにも陥っています。 

 皆さんも、「●●●協会は、全然ダメ」「何をしているのかわからない」「存在に意味があるのか?」 などという否定的なお話しを耳にする事が多々あると思います。
更には、活動を助成している自治体に対しても「何もしていない」「あきらめムード」という意見も出ている事が多いと思います。

 しかし、批判するだけでなく、何故、そうなっているのか。何が原因なのかをしっかり考えなくてはいけません。

 若い人達が新しいメンバーとして入ってきても、重鎮たちが意見も聞かずに、雑用しか命じないとか、保守的な考え方から新しい取り組みにチャレンジしない等、「やる気」をそがれてしまうような組織体になっており、せっかく新しい風が入ってくる可能性があるにも係わらず、自らがその道を遮断して過去の遺物となってしまっている事があります。

 そこには、利権や地域との係わり合い、馴れ合い等が存在しているので、到底、若い人達が単独で突破する事は至難の業です。

 しかし、今、それらを過去の遺物として放置する事は無意味であり、腫れ物に触るように対応するのも、そろそろ止めなくてはいけない時に来ていると考えます。
 
 時代を作って来ていただいた先人に対するお礼と敬意を表しながら、組織を変えていくことが必要であり、そのために必要な方策を人的・資金的・政治的側面から分析しながら、改革に取組んでいるところであります。
 
 自治体がまちづくり活動をしている団体へ行っている助成は、多岐にわたりますが、支給団体の数が多いために、1件あたりの補助は微々たる物です。薄く・多くに助成しても効果が出ないのではないかという考え方もありますが、単純に民間企業のように「選択と集中」ができない事情もわかります。しかし、助成をしている自治体としては、相互連携や波及効果を生み出すような「仕掛け」を作ることが必要と考えます。

各々の組織を活かせないのであれば、それらを連携させるような組織体を創るしかない。

 実際に、新しい組織体の提案を受け入れていただき、活動を開始した自治体もあります。
その自治体からは、●●協会も将来は吸収して欲しい。という話や、■■団体への指定管理の任期が来年切れるので、継続更新しないで運用をお願いしたい。という相談も頂戴するようになりました。

 当然、新しい組織体は自治体とベクトルをあわせ、協働で進める訳ですが、あくまでも自治体主導ではなく、リーダーは地域の方にお願いするという手法を採用しています。
 (企画運営については、私はアドバイザーとして入らせて頂いております。)

 最近、地域づくりに関しては、「中間支援組織」という組織体の存在が必要という意見がようやく、出始めてきたような気がします。

 この「中間支援組織」の必要性と期待される効果については、別の機会にご説明させて頂きますが、みなさんの地域でも、どれだけの団体が活動していて、何をしているのかという事に興味を持って頂くだけでも、地域活性化の勉強になると思います。

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