移動販売事業について

 地域活性化の活動において、移動販売事業に係る推進検討会をしておりました。
 行政主導で行う移動販売事業は、一般的には全国に900万人いると言われている「地域自立型の買い物弱者」対策として検討・活用されている例が多いのですが、継続的な安定運用を確保する為には、地域の協力や資金的な負担も多く、課題が多い状態です。
 
 また、中山間地を中心とした地域では、買い物弱者対策に付随する検討事項として「高齢者の見守り」も重要なポイントになります。この課題は、かなり複雑ではある物の、高齢化社会において過疎化の進む地域においては、喫緊の課題でもあります。

 これに関しては、画一的なベストプランは無く、それぞれの地域独自の事情を考慮したモデルでの成功事例を模索している状況です。

 今回は、移動販売事業の中でも、「地域産品普及拡大の為の移動販売事業」について考えてみました。

 行政としては、地域産業活性化の為に、企業が物産展や各種フェアーへ出店・出品する場合に様々な補助をする事がありますが、いずれも単発的な販促になりがちであり、新たな手法も、あわせて検討する事が必要となっています。

 そのような中、自治体として、「地場産品を用いた商品開発を推進」する場合、商品開発コンセプトをしっかり決め、ストーリー性を持たせると共に、フィールドリサーチを反映させた商品開発を行い、地域PRにつながる施策を連携させて行うと共に、公平性と対等性を担保する事が重要であります。

 生産者が「作れる物を作る」とか、「作りたい物を作る」という事だけではなく、どのような商品であれば、「マーケットに受け入れられるのか?」を自らが実体験しながら改良すると共に継続的なPR施策をどのように企画していくかを考えなくてはいけません。

 しかしこれは、誰もが理解しているにもかかわらず、かなり難易度が高い挑戦であります。

・ストーリー性を持たせた商品開発は可能なのか?
・テストマーケティング等のフィールドリサーチはしっかり出来るのか?
・リサーチ結果を商品開発に反映できるのか?
・PRはうまくできるのか?(ターゲットの考え方は?)
・生産、加工、販売に至るまでのトータルプランナーは誰が、どうやって責任を持つのか?

 それぞれに付随する工程や環境、仕組みと協力者作り、資金負担に至るまで、多岐にわたる調整が必要になりますが、今、連携している自治体では、実際に、この課題に自らが主導となり取組むべく、計画を立案しています。

 移動販売事業に関しては、主にテストマーケティングとPRを目的に活用する予定なのですが、事前の事業性調査という点においては、とても重要なポイントでありながら、中小零細企業のほとんどが、人的・資金的な問題により、さほど実施する事なく、進めている現状があり、うまく行かない原因のひとつとなっています。

 今回の取り組みでは、この部分にもスポットをあてると共に、人的・資金的問題を負担する計画を検討しています。

 現在、様々な地域にある有名な地域産品は、大半が民間企業の自助努力により成し遂げた産物であるといえます。

 しかし、地域産業活性化の為には、優秀な民間企業に任せておけばいい。という事ではなく、自治体が率先して事を進めていく事も、今後は大きな意味があり、官民連携の取り組みが再度、重要となってきます。

 (過去に多くの地域で官民連携による商品開発やPRを行っている事例はありますが、一時的に成功しても、継続できていない。という事例が大半です。)

 自治体は、あくまでも営利企業ではありませんので、民間企業との連携に関しても各種補助金の使途や管理、責任分解点を含め注意を要しますが、官民連携での取り組みの成功事例を、また一つ増やしたいと思います。

   $地域価値創造コンサルタント 須田憲和-経島

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  1. 2017/2/17

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